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ナイトと元奴隷

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【騎士と誓いの花】六青みつみ

六青さんの作品は武士、時代物、ファンタジー、現代と背景がいろいろありましてそれぞれがとても面白く丁寧に書かれていますね。
何を以って面白いとするのか人様々で、自分の場合ストーリーに伴う動きと心情のバランスかな。
誰々が何をしてああなってこうなってという筋だけだと工程を追っているだけで中身空っぽ。
心の中、感情だけで進むと背景がなくて物足りない、また理屈っぽくなって、行動しろよ!

六青さんはそういうバランスが非常に良くて派手な人気ではないけど支持の多い作家さんです。たまたま買ったら掘り出し物的な(スミマセン)

やはり気持ちが体を動かす、または抑えるなどの微妙な成り行きに、どうなんだろうという期待が高まります。
BLの場合ほとんどハッピーエンドが決まりなので読んで泣くまでは至りませんがキャラに情が湧きます。

さらに巧いのが大人の男が持つめんどくさそうなものへの対応や、そう思ってからちょっと悔やんだり。気になるのだけど性格上あっさりしていたり。
もっと何々してあげればいいのに、と思う手前で行動を止めてしまうような物足りなさ感とかが読み取れます。
そういう度合いというのがイライラどきどきして面白いのです。
じつはベタ惚れなんだけど男が持つ性格が全面的にオッケーになれない。
そういうのがこっちはいらいらしてさっさとなんとかしろ、って感じで食い入ってしまいます。このいらいらは悪質ではなく良質のものです。

でこの本の話はというと凛々しく端正な騎士とか弱い元奴隷の恋物語。
毎日がリアル充実であっても、ちょっと逃避行したいなという時、何処かに旅行したようだと思える内容です。
どの作品でも背景描写が巧いからでしょうね。
少し日常を離れて夢に浸れるお話。
こういう気分転換でストレス解消しているんだな、自分。

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