記事一覧

王朝ロマンセシリーズ

ファイル 268-1.jpg

秋月こおさんの王朝シリーズです。
本編は春夏秋冬に合わせてタイトルがあり4巻。
春宵、夏曙、秋夜、冬陽

外伝3巻。

挿絵を描いた唯月一さんのコミックが3巻。

小説はどれもぎっしり書き込んで文庫本に厚みがあって、これだけシリーズがあっても最後まで飽きないお話です。
主人公の孤児で稚児上がりの美少年の千寿丸(実は高貴な・・・)、それを大事に慈しむ大納言の御曹司諸兄(もろえ)、その親友でプレイボーイの在原業平、それを慕う千寿丸にそっくりな国経。
平安時代の美貌のお貴族様たちの恋模様です。

「なりまする」
「ござりまする」
「樋殿」(トイレ)
等言葉遣いはなれないと辛いかもしれませんが、貴族の日常や仕事ぶり、当時のしきたりなど作者はそうとう勉強してドラマのようです。
面白くする為多少のモリはあれど娯楽本なので嘘も面白くです。
諸兄のベタ惚れやとぼけに癒され、千寿の素直な受身もほほえましいです。とにかく二人なら地の底まで落ちてもいいと思うほどの睦まじさ。
業平と諸兄の掛け合いがまたおかしい。

業平と国経は外伝で深まりがわかり、また外伝と本編との話のつながりはそうとう練った構成が出来てのお話だったと思います。
しばし平安京に幻身を預けてみてはいかがでしょうか。

それにしても秋月さんの本はAmazonでほとんど高評価を得てますね。
力のある作家さんがBL書いてくれるのは非常にうれしいです。
次は幸村シリーズを読んでみようと思います。

彼方から

ファイル 255-1.png

ほとんどの読み物がBLという中の数少ないNLで読み返す本がコレ。

ひかわきょうこさんのコミックは絵やストーリーに無駄が無く安定感があるから没頭して読んでしまう。
男子はスレンダーながらも引き締まった身体に美顔。
心地よい真面目さにホロリと漏れる感情がステキなんです。
このほか【お伽もよう綾にしき】も我がNLリストのベスト3入り、っていうか4から後がない。
【彼方から】は数年前に読んで今読み返し、さらにたて続けに読み返している。それほど面白くて飽きないコミックです。

化け物に変身する運命のイザークに惚れますが、イザークを慕うノリコはイヤミが無いので女の子でも気にならない。本当に設定やら展開やら作りが巧い。
(まあ、ノリコが少年なら死んでもいいくらいうれしい)

甘々の恋愛コミックは苦手なのでどうしても恋愛アドベンチャー的コミックがお勧めになってしいます。どうも現実感ある設定でチマチマ悩むお話はリアルでお腹いっぱいなんですね。
せめて妄想や想像は飛び出したい。
時々飛べそうな気がしてしまうのが怖いのですけどね。地震が来たらやりそうで・・・。

そして春風のささやいてから

ファイル 249-1.jpg

随分前に夢中になって読んだ初BL小説はごとうしのぶさんの【そして春風にささやいて】でした。
ただ挿絵のおおや和美さんが好きでチョイスしただけなのに、それからなだれのようにシリーズを読みました。
そして20年たった今【Staition】で完結。
評価はかなり辛口で、そもそもハッピーエンドではなかったようです。
ようです、というのもそれが辛くて読めない。

容姿も富もスーパー高校生のギイくんはクォーターで在住アメリカの御曹司。2年の期限を親からもらって初恋の一般人タクミくんを追って日本の全寮制高校に入学。
恋が実りいろいろな事件を経て続いたこのシリーズ。
この予想外の終結は、本当に終結なのだろうか?
それとも読者の予想で先に明かりのある終わり方だったのだろうか。
20年に渡る(小説では2年ほどですが)夢という限定期間を知っているギイくんの心情が辛い。
それでも一生タクミくんが好きなのだ。

やっぱりどんなであろうとちゃんと読んで見届けるべきなのでしょうね。
ただ残念なのが去年までとってあった以前のシリーズを全部捨ててしまったことです。
さすがにこのピュアな本にはついていけないなと思い切って捨てた!
まさかここで完結しようとは。自然消滅で未完の方が救われた気がする。いや、捨てたことにじゃなくて。。。。

ギイくんはBL小説の門だったよ、ほんと。

戦国BASARA 設定資料集

ファイル 248-1.jpg

サファイアン・ナイト2が完結したことへなのかもしれませんがたくさんの拍手ありがとうございます。
どのコミックも内容が変わり映えしないので少し落ち込んでいたのだけど生き返りました。皆様ありがとうございます。

さて、本題。
いつ出版されたのか分かりませんが『戦国BASARA 設定資料集』なんてのが商品になっていたのですね。
アニメの設定資料集はヤフオクでコピーが売られているのは見ますが商品になっているのは初めてです。もちろん早速買っちゃったけどね。
それにしてもAmazonでの価格がなんだかなー。
新品20000円でユーズド品は数百円からという落差がwwn、わけわかんね。

だいたいオークションでの設定集のコピーってどこからか漏れたものじゃないんですか。でも特にオークション側で取り締まることもないので犯罪ってことでもない範囲の物なのかもしれませんね。それにしてもBASARAが堂々と商品になっているのは太っ腹でした。

マギでも限定のDVDには大高さんの設定集がセットになっててこれも面白かったです。
二次創作をする場合に役立つのだけど別にそこまで知らなくてもいいことを知ってて描かないのと、知らないから描かないのとではファンのプライドが許さない。
ただひたすら自己満足であってどうでもいいことなんだけどね。
でも深く知りたいわけよ。
そう、その世界の地理や鳥瞰図まで好きになっちゃうんだから。

たしかジョジョの作者で荒木 飛呂彦さんは、描くための資料を作っていてスクラッチブックにいろんな切抜きを集めてましたね。
背広とか建物とかカテゴリーに分けてたくさんのカットがありました。きっとそういう努力が記憶に残って作画になる。やっぱさすがだな。

背広・着物・建築物・・・今年はそういうものを自分も作ってみようかな。ネットばかり頼っていないで自作も有りですね。

ナイトと元奴隷

ファイル 243-1.jpg

【騎士と誓いの花】六青みつみ

六青さんの作品は武士、時代物、ファンタジー、現代と背景がいろいろありましてそれぞれがとても面白く丁寧に書かれていますね。
何を以って面白いとするのか人様々で、自分の場合ストーリーに伴う動きと心情のバランスかな。
誰々が何をしてああなってこうなってという筋だけだと工程を追っているだけで中身空っぽ。
心の中、感情だけで進むと背景がなくて物足りない、また理屈っぽくなって、行動しろよ!

六青さんはそういうバランスが非常に良くて派手な人気ではないけど支持の多い作家さんです。たまたま買ったら掘り出し物的な(スミマセン)

やはり気持ちが体を動かす、または抑えるなどの微妙な成り行きに、どうなんだろうという期待が高まります。
BLの場合ほとんどハッピーエンドが決まりなので読んで泣くまでは至りませんがキャラに情が湧きます。

さらに巧いのが大人の男が持つめんどくさそうなものへの対応や、そう思ってからちょっと悔やんだり。気になるのだけど性格上あっさりしていたり。
もっと何々してあげればいいのに、と思う手前で行動を止めてしまうような物足りなさ感とかが読み取れます。
そういう度合いというのがイライラどきどきして面白いのです。
じつはベタ惚れなんだけど男が持つ性格が全面的にオッケーになれない。
そういうのがこっちはいらいらしてさっさとなんとかしろ、って感じで食い入ってしまいます。このいらいらは悪質ではなく良質のものです。

でこの本の話はというと凛々しく端正な騎士とか弱い元奴隷の恋物語。
毎日がリアル充実であっても、ちょっと逃避行したいなという時、何処かに旅行したようだと思える内容です。
どの作品でも背景描写が巧いからでしょうね。
少し日常を離れて夢に浸れるお話。
こういう気分転換でストレス解消しているんだな、自分。

【偏愛メランコリック】

ファイル 234-1.jpg

夜光花 著【偏愛メランコリック】
何気に妖しい表紙がむむっ?!って感じでなかなか買わなかった一冊です。
イラストが蓮川愛さんなのでとうとう買ってしまいました。
おそらく蓮川愛さんの絵じゃなかったらいい感想はなかったと思う。

人形作家の攻めと雑誌編集者の受け。
崎谷はるひさんの”情”シリーズの攻めの慈英を思い出します。
芸術家独特の屈折した性格が偏愛を呼ぶのでしょうか。
好きなものに執着し陶酔してしまう。
ただし終始優しく甘えて攻め倒す。

甘えられてしまう受けの方は頭は覚めながらも体で溺れてしまう。
お互いが持っていないものに引かれて、補い合うい充実感を得た結果が愛という気持ちに育っていく。
なんだか詭弁か。
ま、好きになっちゃったら好きなんだもん。

自分としては意外と面白かった。
偏愛の拗ねた愛し方が、見目のよいいい大人の男のギャップ萌えを感じてしまう。可愛いのだ。
とにかくこの攻めキャラ夏目の個性に振り回されて進む一冊です。
その独特な執拗さが気持ち悪いというならこの本についていけないでしょう。
それなのに面白いと思わせたのは蓮川さんのかっこいい人物だからです。

偏愛・・・自分の本の選び方がまさそくソレ。
絵で買ってしまうがダントツ。
それでも絵買いでなくても面白い本はたくさんありました。食わず嫌いはいけませんね。

慈英×臣シリーズ

ファイル 227-1.jpg
ファイル 227-2.jpg

以前同人活動をしていたの時にちらりと噂に聞いていた【慈英と臣】とは、これだったんだー!
天才画家の慈英と長野の刑事である臣のラブストーリー。
出遅れましたが崎谷はるひさんの【慈英×臣シリーズ】を読み終わりました。
2007年から続いているシリーズですが番外編を含めまだ完結していないのでまだ安心できません。

以下多少ネタバレ含みますのでご了承ください。

慈英が23才の時東京でのゴタゴタに疲れて当てもなく長野にやって来る。そこである事件に巻き込まれ、容疑者の疑いをかけられることで新米刑事の臣と知り合う。

その後慈英は東京から長野に臣を慕って引っ越して同居し、精神的には結婚したような2人の愛がさらに深まるお話です。
お互いの愛にどっぷり浸るかと思えば不安を抱き何度も確認し、山あり谷ありで発行6年目。慈英は23才から30手前まで来て、臣はそれより4つ上。
見目が綺麗な臣にとって、慈英は慣れ親しんだ今でも何度もかっこいいと見とれる男です。
おっとヘタな解説よりそういう細かいことは本にお任せしましょう。

さりげなく生活感があってお互いの感情が生々しいのがこのシリーズに惹かれる理由なのだと思うのです。
惚れ惚れする美形おにいさん慈英がてんぷら揚げるギャップや、仕事がら武術で鍛えているにもかかわらず華奢な刑事臣はセックスに対して異常な執着(依存症というのか)があるんです。
男娼まがいのことをやっていた積極的な臣と、世の中に対して無関心な天才肌の慈英はセックスに強くていやらしいのが相性ぴったり。
慈英の包み込む優しいセックスはよくなるとどんどん過激になり、言葉もエロくてすごいです。ちょっと意地悪に臣を興奮させるのが上手いんだ、これが。芸術家は色を好むんですね、やはり。
天才が故ちょっと普通でない思考の慈英の独特な雰囲気は不思議な攻めタイプでした。Mな攻めのような矛盾したエロさがこのお話の面白いところだと思います。

今まで読んだBLのHシーンでは一番好きだな。
数ページに渡りかなりねちっこいので、濃いのがダメな方には疲れるかも。このねちっこさがMな攻めというのか。

シリーズ中でも好きなのは【はなやかな哀情】で、よくある記憶喪失モノです。
慈英の記憶喪失に、臣は7年間愛してくれた分があれば忘れられても大丈夫と強がりを言うのだけど、「あいつのなかに、どこにも俺がいないんだ」と思うあたりはつらい本音です。

さらに慈英が失った記憶は全部臣と関係があることばかり。
最後は「ただいま」と言って慈英の記憶は戻るのですが、何故臣に関わる部分だけきれいに記憶がなくなったか、それも臣を愛し過ぎた故だったのには興味ある原因でした。原因が分かった時すごくドキドキしましたね。そんなに好きなんだー、ってね。

とにかく記憶のない慈英が半端なく無情に描けていて心の無さがきつく感じました。その無情さが時折ほどけて苦しむところがたまりません。
また慈英の状況を受け止め、大人に振る舞おうとする臣は必死でかっこよかった。好きだからこそ、と考える健気です。

この後のシリーズでは記憶が戻った慈英のもどかしさと、臣は記憶が戻って上書きされた慈英への愛のあり方に揺れることとなります。
1人の中にいろいろな面があっても結局は同じ本人ということに気付くと愛し方も広くなって気持ちが自由になり納まるところに納まります。

ハングリーで切なくて、ピュアでいやらしく激しい関係の慈英と臣を読むと疲れた自分がほっとします。
しかしこれもあれも蓮川愛さんのイラストで最高にキラキラしちゃうんですよね。イラスト担当してくれてうれしいなー。

番外では慈英の年上のいとこ照瑛(慈英と似ている)と未紘のお話【インクルージョン】も好きです。話しは突っ込みたくなるのですが楽しむには充分です。
個人的に未紘の九州訛りがちょっと邪魔なのが残念かな。言葉に慣れないからちょっと入り込めません。
その分照瑛が大人で逞しく茶目なので差し引きゼロ。

全シリーズ通してですが照瑛と慈英の関係が曖昧な卑猥さがあってぞくっとします。2人のあからさまではない想いって男同士のあやふや感なのか、いいとこ突くなーと思うんです。

再び陰陽師

ファイル 224-1.jpg

この間の[岡野玲子版陰陽師]の感想書いてから気が付いたのだけど、何がって違和感に気づきました。
もちろんBLじゃないってことは承知なんですが、妻と子供という生な人間像が違和感感じたなー。
いえケチつけるつもりはありません。あくまで自分の趣味での感想なのでこうだったらいいな・・・という程度です。

晴明が生後数カ月の我が子のとくと陰陽道を説いているのが非現実的なのに、親ばかベタベタな可愛がりは微笑ましいものの。赤子は晴明のあばら骨から生まれなきゃって、アダムとイヴじゃないんだけどそのくらいのロマンであって欲しかった。

そういや妻の真葛は岡野版のオリジナルだそうです。どうりで・・・。
夢枕さんの小説は日常感を出さない為に晴明と博雅には女性をあえて絡ませなかったらしい。それが神秘や謎に効果があったわけです。
もちろん史実では2人とも結婚してますが、フィクションじゃないんだからお話なんだからね。
そういういろんな良くも悪くも面白くって続編を買いました。
紫式部の源氏物語の続編のような宇治十帖みたいなのでしょうか。
それぞれ息子の代まで楽しませてもらいます。

ページ移動