先日の大河ドラマは本能寺の変のお話でした。
久しぶりに切ない感動を覚えたTV番組でした。
とにかく良かったのは豊川信長と市村光秀の迫力あるシーンです。信長の未来を予感させるキーワードに誘導させられるようにして決意を自らに迫る光秀。まるで信長自信で光秀に自分の運命を暗示させたような感じでした。
豊川信長の執念と犠牲を背負った蛇のような目と色気に圧倒されます。この犠牲というのは、これまで感じたことのなかった信長像なんですよ。
このドラマの信長は、自分は天下を統一し平和な世を迎える為に選ばれし者。この国がその理想を得た時自分の役目は終わる。そのためにこれまで犯したことの責任は全部自分が受け止めてたった一人悪者になる。それ以上の望みは持っていないというわけである。
べつに国王になりたいわけじゃないよ、つーことらしい。
新しい信長の見方である。(ドラマや小説としてだけど)
と、まあ、何が一番良かったって豊川悦司さんの長身と肢体の長さです。ダントツで背が高く、手足が長いせいで白い夜着が白旗のように流れます。白袴も襞が深く大きく揺れて美しいのです。
日中韓合作の【武士MUSA】のチョン・ウソンさんの時と同じく衣装の布の量でこんなにも美しい動きになるものなのかと感激します。
瀬戸康次くん蘭丸のくやし涙と光秀軍に飛びかかるシーンもグッと来ました。この時蘭丸18歳。弟の力丸、坊丸も活躍してましたね。さすがの無表情演技(←いい意味で)に悔しさが見えるとポロリときます。
最後は江が信長の死を悟り馬上で号泣するのが印象深かったです。
ちょっとそれはないぜ、と思う所もありますが難しい事は言わず楽しめました。ちなみにこの時の江は9歳くらいらしいです。樹里さんの年齢ではちょっと無理を感じますけどね。どうりでやけにガキっぽい江だと思った理由がわかりました。
ところで信長の重臣の柴田勝家は豪快で鬼のような個性的武将ですが後に信長の妹お市の方と結婚します。最期はお市を殺して(無理やりではなくお市の気持ちも知っての上)その後自害します。切腹ですね。
この人の切腹はその気質からしっかりと十文字に腹を切り、内蔵を全部取り出すまで介錯させなかったということです。驚いたのはこれが切腹の正しい作法なんですって。
平安時代後期だったか初めて切腹した武将がそうやってたからなのだそうです。お腹を切っただけじゃ人は死なない、その後その武将は痛みに2日間耐え獄中死。しかしそれまでには出血多量で死にそうなんですけど~。言い伝えなのでどこまで本当だか・・・。
貴族の平安時代には切腹という習慣はなく、武士が確立してからのしきたりですが、『葉隠』の理想の美的死までに高められるとは武士のプライドはすごい。